懐古は老害の始まり、老害は他界の始まり
紅白出演者発表の時期が来ると、3年前の紅白卒業の件が蘇る。
「お互い本当に大きくなって紅白で会おうね」
「次は5人で!」
夏菜子ちゃんによる伏線じみた言葉たちを完全に無視して、「卒業」という新たな物語に塗り替えたことを未だに自分の中で飲み込めていない。
今となっては「次は5人で」なんて本当に叶わないことになってしまったし、もちろんあかりんとも紅白では会えない。
「紅白に出られない代わりにカウントダウンコンサートをする」というのは、落選の悲しみを乗り越えるために前向きに考えた結果なのだとは思う。その決断自体は良いんだけど。
落選した上で卒業発表というのが本当にかっこ悪い。恥ずかしい。ももクロらしくない。
紅白に出場することが夢です、って馬鹿の一つ覚えみたいにずっと言ってたのに。
あれほど目標としていた紅白をたった一度の落選でなんでこんなに無下にできるんだろう、って本当に悲しかった。今も悲しい。
ももいろ歌合戦の文字を見るたびに、卒業と言っておいて結局ずっと紅白を引きずってるかっこ悪さに心底がっかりする。
今年もわたしは紅白を見ます。スタダ枠が完全になくなってしまった紅白を見ます。
話は変わるというかまあ関連してるといえばしてるんだけど、この前、久々に極楽門のライブDVDを見た。
わたしは、このときのキミノアトが本当に好き。
そもそもももクロを知ったのはサンタさんのMVで、サンタしか言ってないバカみたいな歌(失礼)を楽しそうに歌って踊っている可愛い子たちだな〜という印象だった。
そのあと極楽門のDVDを見てキミノアトのギャップにやられ、わたしのモノノフ人生が始まった。
まあ、そんなきっかけとなったキミノアトが今でも一番好きな歌なのだけど(歌い方変になってしまったのは許せない)、極楽門のキミノアトは格別に美味しい。
まだ5人全員が週末ヒロインだったころで、しおりんは髪を切ったばかりで、
荒削りだけど一生懸命伝えようとしている汗びっしょりの彼女たちがいて、
まあ正直歌は拙いしダンスも個人のくせがだいぶ出ている感じだけど。
でもそれがすごくいい。
彼女たちの送るはずだった普通の女の子としての輝かしい青春が犠牲となって、アイドルとしての一瞬の煌めきに姿を変えている、と、感じる。
すごく眩しくて、切ない。
わたしも彼女たちももう戻れない。
どんどん会場がでかくなって、念願だった紅白に出て、向こう側を見て、国立やって、紅白卒業して。
みんな毎日ヒロインになって、5人から4人になって。青い子は結婚しちゃうし。
極楽門で出だしを飾ったZ伝説は、もうきっと歌われることはなくて。
なんかね。変わっていくなあと。
最新の彼女たちが最高と言えなくなってしまった自分は、あの頃の彼女たちしか語れなくなってしまった自分は、きっともうとっくに老害になってしまっているんだろう。
彼女たちは前しか見てないし、今を生きているわけだから、昔を振り返ってばかりのこんなオタクはどんどん置いていく。
ミュージカルに、5ヶ月連続配信に、全国ツアー制覇に、恒例のライブの数々。
最近自分のモチベーションがどんどん下がっていっているのを感じる。
取り残された時点で他界の第一歩を踏み出しているのかもしれない。